顎関節症とは?
顎関節症とは、顎を動かしたときに痛みがある、音(カクカク)が鳴る、口を開けない・開きにくいといった症状の総称です。
主な症状
顎関節症の主な症状は、以下の通りです。
- 食事や会話など、顎を動かしたときに痛みがある
- 口が開かない、開きにくい
- 顎を動かしたときに音が鳴る
原因
顎関節症の原因は多岐にわたります。1つの原因によって発症することもあれば、いくつもの原因が重なり合って発症することもあります。 主に、以下のような原因が考えられます。
- 精神的なストレス
- 歯ぎしり
- 食いしばり
- 咬み合わせの乱れ(入れ歯や被せ物などによるものを含む)
- 左右どちらかの歯だけで噛む癖
- 顎関節の酷使
- 頬杖
- うつぶせ寝
- 睡眠障害
- 猫背
- 身体の左右バランスの乱れ
- 顔面への外傷
主な治療法
生活指導
頬杖やうつぶせ寝、日中の食いしばりの習慣がある、するめなどの硬いものを長時間噛む習慣がある場合には、意識して改善します。
また、強いストレスがかかっている場合には、生活や仕事に支障のない範囲で回避・軽減を目指します。
咬合治療
咬み合わせが乱れている場合には、咬合治療を行います。
薬物療法
消炎鎮痛剤などで痛みを軽減する方法です。痛みで眠れない、痛みがストレスになってさらに症状が悪化する、といった場合に有効です。
ただし、対症療法に留まるケースが多くなりますので、並行して根本的な治療法を探っていく必要があります。
マウスピース・スプリントによる治療(アプライアンス療法)
マウスピース(スプリント)を使用により、歯や歯ぐき、そして顎関節にかかる力を軽減します。
基本的には就寝中のみの装着となりますが、食いしばりなどの症状が強く現れている場合には、日中も使用することができます。
自分でできる対策
顎の安静、そしてできれば身体の安静を保つことで、症状を和らげることができます。
特に症状がひどいときには、以下のような対応が有効です。ただし、根本的な解決につながる可能性は高くありません。お早目に一度ご相談ください。
- 食事は、おかゆ、そば、うどんなど、やわらかいものを選ぶ。硬いものは控える。
- 顔面、身体をリラックスさせ、上下の歯が触れないようにする。
- 瞬間的に食いしばるような運動は避ける。
- あくびのときに、大きく口を開けないようにする。
- 同じ姿勢を長時間続けない。ときどきストレッチをする。
- 頬杖をつかない。
- 寝る前の飲酒を避ける、湯船に浸かるなどして、睡眠の質を上げる。
- 仰向けで寝る。
歯ぎしりについて
歯ぎしりときくと、周囲の人の睡眠を妨げるもの、というイメージがありますが、歯のすり減りなどの口腔への影響、顎関節への影響も少なくありません。
ご本人は気づいていないことも多いので、気づかれたご家族はぜひ指摘してあげてください。
主な症状
- 起床時、歯が欠けていた
- 起床時、顎が疲れている
- 被せ物、つめ物が頻繁に外れる
- 虫歯はないのに歯がしみる
- 口を開きづらい
- 原因不明の肩こり、頭痛がある
- 前歯や犬歯がすり減っていると指摘された
- 家族に歯ぎしりを指摘された
原因
歯ぎしりの原因ははっきりとは分かっていません。 ただし、ストレス、咬み合わせの乱れ、歯並びの乱れなどが発症とかかわっているのではないか、と指摘されています。
歯ぎしりによる悪影響
歯ぎしりにより大きな負担を受けるのは、歯、歯ぐき、顎関節です。それぞれに、以下のような悪影響を及ぼします。またその他、肩こりや頭痛などを引き起こすこともあります。
歯への悪影響(知覚過敏)
歯は誰でも少しずつすり減るものですが、歯ぎしりよって強い力がかかると、そのスピードが加速します。知覚過敏を引き起こす原因になります。
歯ぐきへの悪影響(歯周病の悪化)
強い力がかかることで、歯ぐきが炎症を起こしたり、歯周病を進行させたりといったことが懸念されます。
顎関節への悪影響(顎関節症)
顎関節に強い力が加わることで、顎関節の発症リスクが高まります。
全身への悪影響(肩こり・頭痛)
肩こり、頭痛といった原因不明の不定愁訴の原因を辿っていくと、実は歯ぎしりや顎関節症が影響していた、というケースがあります。
インプラントへの悪影響
長年の歯ぎしりによってインプラントの寿命を縮めたり、脱落に至ることがあります。
対策・主な治療法
ナイトガード(就寝中に使用するマウスピース)の使用によって、歯ぎしりによる歯、歯ぐき、顎関節などの負担を軽減します。
併せて、生活習慣の改善にも取り組み、心と身体の健康を取り戻すことも重要になります。
ナイトガードについて
ナイトガードとは、就寝中に使用するマウスピースです。
根本的に歯ぎしりを解消するわけではありませんが、歯、歯ぐき、顎関節のダメージを、すぐに軽減することができます。また、「ナイトガードを使っている」という安心感から睡眠の質が向上し、間接的に歯ぎしりが軽減するケースも見られます。